私のタコス

私のタコスの楽しみ方を書きたいと思います。

タコスの例

タコスは辞書的に言えばメキシコ料理です。テキサス州のメキシコ的料理であるテクス・メクスを含め、アメリカ大陸南部に独特の生態系を持ちます。地方ごとに皮=トルティーヤに限らず、具やソース=サルサまで多種多様なバリエーションが存在します。なんだかお好み焼きみたいな感じがします。

タコスは自由だ

私が思うタコスの良さは自由であることです。「これがタコスだ!」のようなルールは特にありません。そう考えないタコス原理主義者にも会いましたが…。インターネットで調べるとたくさんのレシピがヒットします。皮から具材まで多種多様。どれもが美味しい。そして自分が良いと思う組み合わせを探索できること。そんな懐の深さがタコスにはあります。

タコスは自由だ

ここでは「私のタコス」の楽しみ方について書いてみましょう。私なりの最小構成はトルティーヤ・具材・サルサ・その他(ライム・パクチー・玉ねぎ・ハラペーニョ)です。最初はアボカドのワカモレやチーズも加えていたのですが、重複する味を除き省略するに従い不要になりました。実際にメキシコのレシピだと無いパターンをけっこう目にします。それぞれをみていきましょう:

トルティー

皮です。小麦粉ベース、トウモロコシ粉ベースの大きく分けて2種類あります。テクス・メクスや日本のスーパーマーケットで売っている皮は小麦粉ベースですね。これは便利なのですが私はトウモロコシ粉を使っています。トウモロコシ粉といっても製菓に使うコーンフラワーではなく、皮をアルカリで処理するニシュタマリゼーション(Nixtamalization)という過程を経た「マサ粉」を使います。ネットで買えますが、南米食品を扱っているスーパーや雑貨店でたまに目にします。マサ粉にはトウモロコシの種類でさらに違いがあります。私が目にした範囲では白・黄・青の3種類があり、それぞれホワイト/イエロ/ブルー{マサ}と呼ばれています。主な違いは香りです。白→青になるにしたがって独特の香りが出る印象があります。挽き方でも食感にバリエーションがあります。細かい方が扱いやすいです。

ホワイトマサ粉のトルティーヤを焼く

ブルーマサ粉のトルティーヤを作るようす

マサ粉のトルティーヤの作り方はシンプルです。混ぜて伸ばして焼くだけ。小麦粉と違ってグルテンがないため練る・発酵などの手間はありません。粉と水と塩をまぜて軽くこねる。そして球状にわけて丸めたのちに伸ばす。トルティーヤプレスで伸ばすと楽です。2000円ぐらいで買えます。まな板2枚で体重をかけてもできます。生地に粘り気がないため麺を伸ばす木の棒だと割れやすい。伸ばすというよりも押しつぶすという感覚です。

トルティーヤプレス2000円

伸ばしたらフライパンで焼きます。よく膨らむ画像をインターネットでみるのですが、温度と生地の水分量のせいかあまり膨らみません。膨らむこと自体に意味はあるのかは謎です。片面1分もかからないぐらいで焼けるのでキッチンペーパーで包んで重ねていきます。皮に湿度を適度にいれないと割れてしまうため、専用の密閉容器なども売られています。まぁすぐ食べるなら気を使わなくても大丈夫だと思います。

イエローマサ粉のトルティーヤが焼けた

具材

具材は大雑把に言えばなんでも良いと思います。トルティーヤがトウモロコシ粉の場合は小麦粉にくらべて皮自体の香りが強いので肉の旨味やスパイスを効かせるとバランスが取れる気がします。よく目にするタコスシーズニングにはクミン・塩・ニンニク・唐辛子が使われています。これに豚か牛のひき肉を混ぜて煮なさいと説明書にはありますよね。これも美味しいですが、他にも合う具材はあります。私が好きなのは牛ハラミ肉にクミン・塩・ニンニク・唐辛子・ライム果汁に15分ぐらいつけて焼いたものです。

スパイスでマリネした牛ハラミ

そして一番好きなのはプルドポークです。これはカルニータスというメキシコのタコスを参考にしたものです。カルニータスは豚塊肉を低温かつ大量のラードで長時間揚げる料理であり、なかなか家で再現は大変です。そのため豚肉にクミン・塩・ニンニク・唐辛子を刷り込んで味をつけて焼き付け、そして圧力鍋で煮てホロホロにしました。

プルドポーク

プルドポークをつかったタコス

タコスの具は牛や豚だけではありません。メカジキもおいしい。「フィッシュタコス」で検索するとわかりますが、実は魚のタコスはメキシコではポピュラーな存在のようです。肉と同様に調味料をすりこんだ後に揚げ焼きにしました。ここでは試しませんでしたがサワークリームなどが合うと思います。

フィッシュタコス

サルサ

スペイン語でいうところのソースですね。私が考えるサルサの役割は酸味と甘味、そしてトマト的なうまみを与えることだと思っています。一番簡単なのはミニトマトと玉ねぎをみじん切りにして塩とバルサミコ酢で調味したものです。バルサミコ酢を使うレシピはあまりないのですが、酸・塩・甘味が整っているため味を決めるには便利です。深みを出したければトマト玉ねぎと青唐辛子(シシトウ)を油をひかずにフライパンで焦げるまで焼いて粉砕して作るとおいしい。メキシコのレシピだと食用ほうずき(トマティーヨ)やパクチーを使う場合もあるみたいです。

簡易サルサ

その他(ライム・パクチー・玉ねぎ・ハラペーニョ

皮と具さえできてしまえばあとは簡単です。ライムはスライスして食べるときに絞る。スライスした状態で冷凍しておくと便利です。パクチーと玉ねぎはみじん切り。ハラペーニョはなければタバスコのハラペーニョ味を使うのがおすすめです。バルサミコ酢と同様に酢と塩が入ったバランスのある味なので全体をまとめる効果もあります。

ライムとパクチー

おわりに

私なりのタコスの楽しみ方を書いてみました。パーティー料理のイメージがありますが、実はタコスは日々の食事としても活躍します。ライムとハラペーニョは冷凍しておけばよく、マサ粉は日持ちがします。調味料はまぁあるとして、あと必要なのはパクチー・玉ねぎ・肉か魚ぐらいなものです。トルティーヤは慣れれば1〜2人前20分ぐらいで作れます。ご飯を炊くよりも早い。マサ粉さえ手に入れば粉もんの範疇でこなせる家庭料理になり得ます。なにより具材を挟み、ライムを絞ってかぶりつく体験が楽しい。

ここで書いたレシピはあくまで一例です。まだまだ試していないレシピは山ほどあります。タコスは懐が深く、それゆえに探索しがいのある料理です。研究は続きます。